KiCadのPcbnew（フットプリント配置画面）の要素はプロジェクトをまたいでコピーできる

背景

KiCadで似たような形の基板を作りたい場合、自分はプロジェクトをコピーして名前を変更して作ったりしますが、ある程度回路を設計した後に基板の切断線をコピーしたい時があります。

何気なくKiCadを複数立ち上げた状態でコピペしていたら、プロジェクトを跨いでコピペできることに気づきました。
便利だと思うので、コピーの挙動と複数プロセスの起動方法を紹介します。

Pcbnewの要素をコピーして複製する

コピーして貼り付ける様子を紹介します。

Pcbnewでコピーしたい要素を選択します。

Ctrl + cを入力すると、まだコピーされず、コピー対象選択モードになります。

選択されて色が変わっている要素をクリックすると、コピーされます。

この状態で他のプロジェクトのPcbnewを開きます。
あとで説明する複数プロジェクトを起動した状態で行うと、Pcbnewの切り替えがスムーズです。
複数プロセスを動かして無くてもKiCadのプロセスを閉じなければコピーしたものは維持されるので、KiCadのメインメニューから別のプロジェクトを開きます。

別のプロジェクトのPcbnewで Ctrl + v を入力すると、先ほどコピーした要素を複製できます。

プロジェクトをまたいでPcbnewの要素を複製できました。

複数プロセス動かす

Pcbnewを複数表示しておくと、デザインの見比べやコピペが捗るので、複数プロセスの動かし方を紹介します。

Windowsの場合は特別な操作不要

Windowsの場合はメニューからKiCadを複数回選択すれば、既に動いている旨の警告が表示されて、複数のプロセスを動かせます。

動作確認環境
Windows 10
KiCad: 5.1.2

macOSの場合はopenコマンドを利用

macOSのランチャーやメニューなどで複数のKiCadを起動しようとすると、既に起動しているKiCadが表示されて複数のプロセスを起動できません。
macOSでは、ターミナルで下記のコマンドを入力すると、複数のKiCadのプロセスを起動できます。

open -n -a kicad

動作確認環境
macOS: Big Sur 11.0.1
KiCAD: 5.1.8

参考: How to Open Applications Using Terminal on Mac

Linuxの場合はターミナルから起動

LinuxのメニューからKiCadを複数起動しようとしても、既に起動している場合はそれが表示されます。
Linuxでは、ターミナルでkicadを実行すると、複数のKiCadプロセスを起動できます。

動作確認環境
Ubuntu 20.04
KiCad 5.1.7

まとめ

KiCadのPcbnewの要素はプロジェクトをまたいでコピーできることを紹介しました。
KiCad複数プロセス立ち上げておけば、設計を見比べつつ複製が必要な要素をコピーできるので便利だと思います。

なお、この方法ではEeschema（回路作成画面）の要素はプロジェクトをまたいでは複製出来なかったので、その方法をご存知でしたらコメントで共有していただけると嬉しいです。