2025年10月27日月曜日

FreeCADで繰り返し穴を空けた板を作る


背景

FreeCADとはオープンソースの3D CADプログラムです。
形状を繰り返す方法が分からなかった調べて実現しました。
自分はspreadsheetを利用して値を一覧で管理しつつ大きさを管理する事が多いので、それと組み合わせた方法を備忘録として共有します。

使ったもの

FreeCAD 1.0.2

Spreadsheetで大きさを管理

Spreadsheetの扱い方は以前書いた記事が参考になります。

FreeCADのSpreadsheetで変数を管理して箱を作ってみた

下記の大きさの穴付きの板を作ります。
  • 板のx軸の幅 plate_length_x 100mm
  • 板のy軸の幅 plate_length_y 50mm
  • 板厚_plate_thickness 2mm
  • 穴の直径 plate_hole_2r 2mm
  • 穴の間隔 plate_hole_between 5mm
  • 板の角の丸み plate_corner_r 2mm


値はエイリアスを割り当てて呼び出し可能にしておきます。


穴無しの板と穴の元を作成

Spreadsheetを参照しつつ、原点を中心として穴無しの板を作ります。


Spreadsheetの板厚で押し出しました。


Spreadsheetを参照しつつ、原点に穴の元を作ります。


板厚で押し出せば十分ですが、場所を分かりやすくするために板厚の倍で押し出しました。


穴をhole_pillow、板をbase_plateに名前変更しました。


穴の元の配列を作成

ワークベンチをDraftにします。


支柱を選択した状態で整列を選びます。



新規作成画面だとSpreadsheetの値を扱えない上に、編集のためにこの画面を再度表示もできないので、一旦OKを押して初期値で配列を作ります。


初期値の10cm間隔で配列が生成されました。


モデルのArrayを選択し、配列の内容を変更します。


Interval XのxとInterval Yのyそれぞれに穴の間隔として定義したSpreadsheet.plate_hole_betweenを割り当てます。
式エディタは入力状態にした後、入力領域に表示される関数マークを押すと出てきます。


関数マークは入力欄の右にあるこれです。
これを押すか「=」を入力すると式エディタが表示されてSpreadsheetの値を呼び出し可能になります。


XとYにSpreadsheetの変数を割り当てて5mm間隔にしました。


表示内容も5mm間隔に変わりました。


次に Number X に Spreadsheet.plate_length_x / 2 / Spreadsheet.plate_hole_between (板のx軸の長さの半分を穴の間隔で割った値) を
Number Y に Spreadsheet.plate_length_y / 2 / Spreadsheet.plate_hole_between (板のy軸の長さの半分を穴の間隔で割った値) を割り当てます。



板の1/4の領域に穴用の支柱を配置できました。


支柱を鏡面コピーして穴あけ

配列機能では起点から軸の順方向にしか繰り返し数を指定できないため、残りの部分は鏡面コピーで埋めます。

ワークベンチをPartにします。


配列を選択した状態でミラーリングを押します。


まずはXZ面を選択してOKを押します。



支柱が増えました。


もう一度ミラーリングを押します。


今度はArrayとArray (Mirror #1)の2つを選びつつ、YZ平面を指定します。
ctrlを押しながらクリックすると、複数要素を選べます。



支柱が増えました。


くり抜き処理のために穴の部品をひとつにまとめます。
ctrlを押しながらArrayと鏡面コピーで増やしたものをすべて選んだ状態で結合を押します。



穴がまとまって1つになりました。


ctrlを押しながらbase_plate -> Fusionの順に選択します。
切り取り処理は選最初に選択した形状が後に選択した形状で切り取るため、順番が重要です。


処理対象を選んだ状態で切り取りを押します。


穴用の支柱の形状で板がくり抜かれ、等間隔で穴が空けられた板ができました。


余談: 割り算で算出した繰り返し数は通常は四捨五入される

Spreadsheet.plate_length_xを100から95にすると、穴数の計算結果の実数は9.5ですが四捨五入で切り上げられて10のままです。





Spreadsheet.plate_length_xを100から94にすると、穴数の計算結果の実数は9.4ですが四捨五入で切り捨てられて9になります。





数式エディタはceil(小数点切り上げ)とfloor(小数点切り捨て)関数が使えるので、それを使えば小数点の扱いを変えれます。



おわり

FreeCADを使って一定間隔で穴を空けた板を作れました。
数式で算出した配列の繰り返し数は通常は四捨五入されると分かりました。
期待通りの物を作る方法が分かって良かったです。

参考

Draftの整列機能の存在を知りました。
FreeCAD チュートリアル インペラ(2/3)

Spreadsheetの利用例です。
FreeCADのSpreadsheetで変数を管理して箱を作ってみた

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