SIM7600は3Gを無効にすると安定するものがある

背景

SIM7600とは3Gや4G LTEの通信装置です。
PCならUSB通信で、マイコンならUART通信で設定を施して、soracomなどSIMを繋いでWAN（インターネット）に接続できます。

SIM7600JC（SIM7600の日本仕様）をaliexpressで購入したところ、設定を施すと再起動を繰り返すものに複数遭遇しました。
試行錯誤したところ3Gの設定を有効にしなければ動くと分かったので、設定方法を備忘録として記事に残します。

使ったもの

• SIM7600JC-H
• soracom plan-d のSIM
• SIM7600JCにUSB接続する基板とPC

3Gを使わずWCDMA（4G）のみを有効化

下記のように3Gを有効化しないATコマンドを設定すれば、自分が遭遇した不具合品？は安定して動作しました。

AT+CNBP=0x000700000FFF0380,0x000007FF3FDF3FFF,0x000000000000003F

SIM7600のATコマンドマニュアルの「AT+CNBP」に詳しい説明があり、下記のようにカンマ区切りでmode, lte_mode, tds_modeが指定可能で、modeを「0x000700000FFF0380」にすると、3G（GSM）は無効化したまま4G（WCDMA）だけを有効化できます。

AT+CNBP=<mode>[,<lte_mode>][,<tds_mode>]

modeを全部使う設定「0xFFFFFFFF7FFFFFFF」にすると、再起動を繰り返す装置がありました。

3Gを有効にすると不具合が発生するものは、revisionに_ESC3が付く

3Gを有効にすると不具合が発生するものとそうでないものは、自分が確認した範囲では外見では区別不能でした。
revisionを確認するための「AT+CGMR」コマンドで取得した情報に違いがあり、不具合が発生するものには「_ESC3」という文字列が末尾に付いていました。

不具合が発生するもの

AT+CGMR
+CGMR: LE11B05SIM7600JC-H_ESC3

不具合が発生しないもの

AT+CGMR
+CGMR: LE11B05SIM7600JC-H

再起動を繰り返す場合は、無線設定を初期値に戻せば良い

再起動を繰り返してしまうため一旦安定させたい場合は、工場出荷と同様に通信のmodeを全て無効化すると、自分が遭遇した不具合が発生するSIM7600は安定しました。

AT+CNBP=0x0000000000000000,0x000007FF3FDF3FFF,0x000000000000003F

おわり

revisionで_ESC3と末尾に付くSIM7600は、3G通信を避けるべき仕様なのか、3G（GSM）を有効にすると再起動を繰り返すものがありましたが、3Gを避けて4G（WCDMA）のみを有効にすれば期待通りに動きました。
非対応なら機能を有効化しても落ちずに使えないまま動いて欲しいですが、回避方法が分かって良かったです。

参考

AT+CNBP command for SIM5216E cellular module [closed]
SIM7600のATコマンドマニュアル