2017年3月11日土曜日

KiCADで作った基板のステンシルをレーザーカッターと紙で作る方法


ノウハウが溜まってきたので共有します。

背景

基盤づくりにおけるステンシルとは、クリームハンダを半田面に塗るために使う、穴の開いたシート(板)のことです。
elecrowはPCB(プリント基板)を10枚を$9.5から購入できて、表面実装に必要なステンシルは1枚$16から購入できます。
どちらもPCBメーカーの相場として安いと思いますが、基板より高いステンシルを節約できれば、より気軽にPCBを試作できます。

この記事では、そのステンシルをレーザーカッターで紙に出力して自作する方法を共有します。

全体像

この内容で内容を共有します。
  1. 使ったもの
  2. マスクに使う銅箔面のsvgデータをkicadから出力
  3. 配線やベタを含む銅箔面のsvgデータをフットプリントだけにする
  4. 間が狭いフットプリントを縮小する
  5. レーザーカッターの彫刻モードで紙に出力する

使ったもの

  • KiCADの基板データ
  • inkscape
  • visicut + epilog laser mini

マスクに使う銅箔面のsvgデータをKiCADから出力

KiCADの基板作成モードで[File] -> [Plot SVG]を選択します。


マスクを作りたい基板面(今回はF.Cu)だけをチェックして、Plotをクリックします。


svgファイルを出力できました。


配線やベタを含む銅箔面のsvgデータをフットプリントだけにする

KiCADで出力したSVGファイルをInkscapeで開きます。


配線、ベタ、切断線はそれぞれ別のグループになっているので、移動できます。


配線、ベタ、切断線、ピンヘッダ、ピンソケット部分は不要なので、消してください。
ピンヘッダ、ピンソケットの四角の穴は他のフットプリントとグループされて消せないと思いますが、後で消すので一旦放置してください。


フットプリントの間にあるビア(穴)も消してください。


ビアを消せたら、ピンヘッダ、ピンソケットの四角のフットプリントを右クリックしてください。


メニューが出てくるので、「グループ化解除」を選択してください。


グループ化が解除されると四角の穴が独立するので、ピンヘッダの穴に該当する部分を消してください。


ステンシルを作りたいフットプリントのデータだけになりました。


キリが良いので、ここまで来たらデータを保存することをお勧めします。

間が狭いフットプリントを縮小する

フットプリントのデータだけになれば、それをレーザーで出力してもらっても構いません。
しかし、今までの自分の経験からして、下記のフットプリントを縮小するとリフローの成功確率が上がる傾向にあります。

  • 間が狭いフットプリント
  • 部品に覆われるフットプリント

今回の場合この部分です。



  • ESP32の中心のGND
  • ESP32の端子部分
  • FT232RQ
  • microUSBの信号線部分

縮小方法を順に説明します。

ESP32の中心のGND

ESP32の中心のGNDはESP32に覆われてしまうため、ステンシルを狭くしてハンダを量が減らすとESP32が浮かないので周囲の端子の接触が良好になります。
自分は50%に縮小しています。


小さくなりました。


ESP32の端子部分

端子部分はチップ抵抗に比べると面積が大きいので一見このままでも良さそうですが、半分くらいをESP32が覆うため、そのままの量ではハンダが盛り上がってESP32が浮いたり、ハンダが溢れて隣通しがくっついたりします。
そのため、自分は75%位に縮小しています。

グループ化されているとフットプリントの場所がずれてしまうので、縮小する前に右クリックしてグループ化を解除します。


解除できたら75%に縮小します。


小さくなりました。


FT232RQ

今回紹介する基板の中で最も小さい部品です。
ESP32と同様に、そのままではハンダが溢れます。

まず、75%に縮小します。


チップに対してハンダの面積が大きいためか、今の方法ではステンシルを小さくしてハンダの料を減らしても部品が浮いてしまいます。
少しでも浮きを小さくするために、自分は縮小したステンシル面のxやyの座標を操作して、中心から外側に少しずらしています。


小さくして、外側に配置できました。


ちなみに、この状態でも部品が浮いてしまうことがあるため、自分はリフロー中に軽くつついて基板と部品と接着させたりしています。

microUSBの信号部分

そのままでは左右がくっつくのでステンシルの大きさを75%縮小します。


ハンダを中心から外側に逃したいので、FT232RQの端子と同じように、座標を操作して部品の外側に配置します。

小さくして、外側に配置できました。

今回の基板で小さくしたい部分は以上です。


このデータをレーザーカッターで紙に出力して、ステンシルとして利用します。

レーザーカッターの彫刻モードで紙に出力する

お使いのレーザーカッターで紙に出力してください。


自分は下記の記事で設定したvisicut + epilog laserで、power 100 speed30 の設定で出力しています。

Ubuntuでレーザーカッターのジョブを出力する方法

出力できました。


紙へのステンシル出力方法の共有は以上です。


このステンシルを使って作業を進めた様子は、こちらの記事でまとめています。

ホットプレートと紙のステンシルでリフロー -> 手はんだ -> 組み立て

参考

asukiaaa/esp32bb
今回の例に使った基板のプロジェクトです。

0 件のコメント :