電池駆動でどのくらいの期間動作させられるか調べてみました。
調査内容を共有します。
検証対象
■ハードウェア: BLEnanoスイッチサイエンスかDegiKeyで買えます。
■ソフトウェア: mbedのbeaconプログラム
mbedのオンラインコンパイラで提供されるプログラム「BLE_ibeacon」を利用しました。
下記サイトの中盤にある「Build Beacon Application」を参考にして、書き込みました。
Getting Started with nRF51822
結論
調査内容や途中の計算に興味の無い方も居ると思うので、先に結論を記述します。iBeaconとして使用するBLEnanoの消費電力: 891μW
駆動可能日数
ボタン電池(220mAh)1個: 1ヶ月弱(26日)
単三電池(2000mAh)2本: 8ヶ月弱(238日)
iBeaconは0.1秒毎に信号を発信する必要があるため、「BLEはボタン電池で2年持つ」という宣伝文句が当てはまらないようです。
計算の全体像
このような流れで計算しました。- 消費電力量の計算
- バッテリーの電力量の計算
- 駆動日数の計算
消費電力の計算
フォーラムの議論でRedBearLab(BLEnanoを作ったグループ)の方が「ibeaconプログラムを100msで動作させた時の平均電流量は280μA」とコメントを残しています。参考: Coin battery life : RedBearLab Support
今回はこの280μAをベースに計算を進めます。
280μAを3V駆動で利用した場合の消費電力は840μWです。
バッテリーの電力量の計算
ボタン電池1個の電力量
ボタン電池(CR2032)の電流量は220mAhのようです。参考: CR2032 : CR系コイン形リチウム電池
ボタン電池の電圧は3Vなので、電力量は
220mAh * 3V = 660mWh
です。
単三電池2本の電力量
単三電池の容量は2000mAhのようです。参考: 電池の実用知識
3Vが欲しいので2本を直列にして使います。
そのため、単三電池を2本使った時の電力量は
2000mAh * 1.5 * 2 = 6000mWh
です。
駆動日数の計算
駆動日数は、下記のように計算しました。自己放電を加味して、バッテリーの使用可能な電力量を全体の80%としています。
( バッテリーの電力量[Wh] * 0.8 / BLEnanoの電力[W] ) / 24[h] = 駆動日数[days]
■ボタン電池1個の場合
( 660mWh * 0.8 / 0.84mW ) / 24 ≒ 26日
■単三電池2本の場合
( 6000mWh * 0.8 / 0.84mW ) / 24 ≒ 238日
つまり、ボタンによって下記の日数駆動できるようです。
電池の種類 | 駆動可能時間 |
---|---|
ボタン電池1個 | 1ヶ月弱(約26日) |
単3電池2本 | 8ヶ月弱(約238日) |
ibeaconの規格に沿った場合、BLEでよく言われる「ボタン電池で2年駆動」というのは難しいようです。
参考: 「普通のビーコン」と「IBeacon」の違い、あなたは分かりますか?~Appleが主導するビーコン市場の現状を検証~
以上です。
間違いがありましたら、ご指摘ください。
この情報が何かの参考になれば嬉しいです。
余談
電流量をテスターで測定してみました。テスターでの計測値
sleep時 8μA
active時 0.21mA
activeの時間が0.1秒あたり0.001秒だとすると
電流の平均値は 0.21mA * 1/100 + 0.007mA * 99/100 ≒ 0.01mA(10μA)
テスターの計測値から算出した10μAは、フォーラムでコメントされていた280μAと比べると低い値になってしまいました。電流の平均値は 0.21mA * 1/100 + 0.007mA * 99/100 ≒ 0.01mA(10μA)
これは、手持ちの電流計の分解能に限界があるためだと思います。
電流量を計測するためには、電流センサやオシロスコープなど、精度の高い測定機器が必要なようです。
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