2016年7月20日水曜日

BLEnanoの消費電力と電池寿命を計算してみる


電池駆動でどのくらいの期間動作させられるか調べてみました。
調査内容を共有します。

検証対象

■ハードウェア: BLEnano
スイッチサイエンスDegiKeyで買えます。

■ソフトウェア: mbedのbeaconプログラム
mbedのオンラインコンパイラで提供されるプログラム「BLE_ibeacon」を利用しました。

下記サイトの中盤にある「Build Beacon Application」を参考にして、書き込みました。

Getting Started with nRF51822

結論

調査内容や途中の計算に興味の無い方も居ると思うので、先に結論を記述します。

iBeaconとして使用するBLEnanoの消費電力: 891μW

駆動可能日数
ボタン電池(220mAh)1個: 1ヶ月弱(26日)
単三電池(2000mAh)2本: 8ヶ月弱(238日)

iBeaconは0.1秒毎に信号を発信する必要があるため、「BLEはボタン電池で2年持つ」という宣伝文句が当てはまらないようです。

計算の全体像

このような流れで計算しました。
  1. 消費電力量の計算
  2. バッテリーの電力量の計算
  3. 駆動日数の計算

消費電力の計算

フォーラムの議論でRedBearLab(BLEnanoを作ったグループ)の方が「ibeaconプログラムを100msで動作させた時の平均電流量は280μA」とコメントを残しています。

参考: Coin battery life : RedBearLab Support

今回はこの280μAをベースに計算を進めます。
280μAを3V駆動で利用した場合の消費電力は840μWです。

バッテリーの電力量の計算

ボタン電池1個の電力量

ボタン電池(CR2032)の電流量は220mAhのようです。

参考: CR2032 : CR系コイン形リチウム電池

ボタン電池の電圧は3Vなので、電力量は
220mAh * 3V  = 660mWh
です。

単三電池2本の電力量

単三電池の容量は2000mAhのようです。

参考: 電池の実用知識

3Vが欲しいので2本を直列にして使います。
そのため、単三電池を2本使った時の電力量は
2000mAh * 1.5 * 2 = 6000mWh
です。

駆動日数の計算

駆動日数は、下記のように計算しました。
自己放電を加味して、バッテリーの使用可能な電力量を全体の80%としています。

( バッテリーの電力量[Wh] * 0.8 / BLEnanoの電力[W] ) / 24[h] = 駆動日数[days]

■ボタン電池1個の場合
( 660mWh * 0.8 / 0.84mW ) / 24 ≒ 26日

■単三電池2本の場合
( 6000mWh * 0.8 / 0.84mW ) / 24 ≒ 238日

つまり、ボタンによって下記の日数駆動できるようです。
電池の種類駆動可能時間
ボタン電池1個1ヶ月弱(約26日)
単3電池2本8ヶ月弱(約238日)

ibeaconの規格に沿った場合、BLEでよく言われる「ボタン電池で2年駆動」というのは難しいようです。

参考: 「普通のビーコン」と「IBeacon」の違い、あなたは分かりますか?~Appleが主導するビーコン市場の現状を検証~


以上です。
間違いがありましたら、ご指摘ください。
この情報が何かの参考になれば嬉しいです。

余談

電流量をテスターで測定してみました。

テスターでの計測値
sleep時 8μA

active時 0.21mA

activeの時間が0.1秒あたり0.001秒だとすると
電流の平均値は 0.21mA * 1/100 + 0.007mA * 99/100 ≒ 0.01mA(10μA)

テスターの計測値から算出した10μAは、フォーラムでコメントされていた280μAと比べると低い値になってしまいました。
これは、手持ちの電流計の分解能に限界があるためだと思います。
電流量を計測するためには、電流センサやオシロスコープなど、精度の高い測定機器が必要なようです。

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