2021年5月23日日曜日

ノイズに強いGroveケーブルを作る


背景

Groveとはseeed studioが定めたケーブルの規格です。
4芯線を利用してI2C通信、UART通信、GPIO制御などに利用可能なケーブルです。

Grove System - Seeed Wiki

市販されているケーブルとしては、seeed studioが作った4本を束ねたものM5StackというLCDが付いた便利装置向けに作られたリボンケーブルを利用したもの、以上2種類を自分は確認しています。

Seeed studioの作ったケーブルには固定用のツメが付いていてM5Stackには差し込めない形状ですが、ツメを切り取れば差せます。
自分は装置を抜き差しすることが多いので、ツメのない形状が好みです。


そのGroveケーブルが便利なので様々な場面で利用したところ、24Vで動かすモーターの電力線の近くに配線するとノイズが乗るのか通信できなくなる場面がありました。
いくつか対策を施したところ、信号線のシールドケーブルへの変更が効果的でした。

(他の対策としてはロジックレベル変換モジュールで信号強度を保ちつつノイズを除去しました。無いよりは通信不良が減りますが、シールドケーブルの方が効果がありました。)

最初はGroveケーブルを切断してシールドケーブルにはんだ付けしていましたが、手間なのにケーブルが綺麗でないことに不満を感じはじめました。
調べてみるとGrove互換のコネクタをまとめてくれているページを見つけたので、それを参考に部品を調達してケーブルを作ってみました。

Grove端子(HY2.0-4P、PH2.0-4P)について調べてみた

部品表の備忘録と、同様に通信不良で困っている方の助けになったら良いと思い、記事を残します。

なお、本記事の方法で作った0.5m1m2m4mのケーブルをスイッチサイエンスで売っていますので、道具や材料を買う前に効果があるか試したい場合に良ければご利用ください。

使ったもの

全部ではなく、使ったものの一部の写真です。


材料

  • シールドケーブル
    4芯で、アルミホイルで保護されているものを選びました。
  • HY2.0-4P ハウジング
    Grove互換の4芯を選びました。
    コンタクトの圧着に失敗すると予想したため、ハウジングとコンタクトが別売りになっているものを選びました。
  • HY2.0-4P コンタクト
    圧着失敗を考慮して、ハウジングでの必要数より多めに買いました。
  • 熱収縮チューブ 3mm径
    無くても良いですが、あると見た目が綺麗です。

工具

  • 圧着ペンチ
    ケーブルにコンタクトを取り付けます。
    1.6mmと1.9mmを利用しました。
    上記リンクのものなら、「小・中型」でも「極小」でも1.6mmと1.9mmはあります。
    自分は「小・中型」を利用しました。
  • ワイヤストリッパー
    ケーブルの被覆を剥きます。
    0.5mm、0.25mmを利用しました。
  • ニッパー
    ケーブル、収縮チューブ、ハウジングの固定ツメなどの切断に利用します。
  • ドライヤーもしくはガスバーナー
    熱収縮チューブを縮めます。
    熱収縮チューブを使わない場合は不要です。
  • メジャー
    ケーブルの長さを測ります。

作業の様子

写真を交えながら組み立ての様子を紹介します。

ケーブルを欲しい長さで切断します。
今回は50cmのケーブルを使います。


外側の被覆を剥きます。
内側にアルミホイルがあり、シールドされているのを確認できました。


熱収縮チューブを利用する場合は、適当な長さに切って差し込んでおきます。


内側の被覆も剥きます。
このシールドケーブルは、黒と赤がAWG24、白と緑はAWG30くらいの太さでした。


被覆を向いた線にコンタクトを圧着します。
自分はケーブルの被覆に被さる部分を先に圧着するのが好みです。


被覆を向いた部分も圧着します。


4本とも行います。


コンタクトを圧着できたら、ハウジングに差し込みます。
端子の両端の色が合っていれば問題ないのですが、Seeed studioが作っているケーブルの色と緑以外は同じなのと、赤黒が太いので電源として利用したいため、色を合わせます。


コンタクトを差し込んだ後、熱収縮チューブを外側の被覆の切り口を覆う部分で収縮させたら、片側の完成です。


反対側も同様に組み上げます。


自分はツメが無い方が好みなので、固定用のツメを切断しました。


50cmのシールドGroveケーブルができました。


自分が確認した環境では、大電流が流れるケーブルの横でも問題なく通信してくれました。


まとめ

シールドケーブルを利用して、Grove互換のケーブルを自作できました。
大電流によるノイズで通信不具合が発生してそうな場合は、このようなケーブルを試してみると良いかもしれません。

本記事の方法で作った0.5m1m2m4mのケーブルをスイッチサイエンスで売っていますので、道具や材料を買う前に効果があるか試したい場合に良ければご利用ください。

変更履歴

2021.07.10
スイッチサイエンスの商品ページへのリンク(0.5m1m2m4m)を追加しました。

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