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2016年12月7日水曜日

Ubuntuでレーザーカッターのジョブを出力する方法


EPILOG LASERというレーザーカッターは、Windows向けのドライバは提供していますが、Linux向けにはドライバを提供していません。
しかし、VisiCutというプログラムを使えば、Lunuxからでもジョブを送信できます。
とは言え、レーザーカッターのジョブを送れるようになるまで詰まる部分もあったので、メモを兼ねて共有します。

全体像

この流れで説明します。
  1. 使ったもの
  2. VisiCutのレーザーカッターに関する設定
  3. VisiCutとInkscapeの連携設定
  4. IncscapeからVisiCutにデータを渡す
  5. VisiCutでレーザーカッターの出力設定とジョブの出力
  6. レーザーカッターで出力

使ったもの

これらのソフトウェアやハードウェアを利用しました。

Ubuntu16.04


今回利用したLinuxOSです。
Download Ubuntu Desktop

VisiCut


レーザーカッターのジョブを出力するオープンソースのプログラムです。 下記のリンクからダウンロードして、インストールしてください。
2016/12/07現在、実行にはjava7以上が必要です。
Downloads Here you can download the latest versions of VisiCut

ubuntuの場合、devファイルをダブルクリックするとソフトウェアセンターが立ち上がるので、そこで「インストール」ボタンを押してください。


自分のubuntu16.10の場合、ソフトウェアセンターからのインストールではインストールが完了しませんでした。
ソフトウェアセンターには何も表示されませんでしたが、依存関係が解決されないのが原因でした。
自分の場合、ターミナルからupdateとupgradeを行うと満たされない依存を指摘されたので、「sudo apt-get install -f」で解決しました。


Inkscape


ベクター画像を編集できるプログラムです。
Inkscapeで描画した画像をVisiCutに渡します。
ubuntuであれば下記のコマンドでインストールできます。
sudo apt-get install inkscape

コマンドでダウンロード出来ない方は、下記のページからプログラムをダウンロード・インストールしてください。
Download | Inkscape

EPILOG LASER mini


VisiCutで作成したジョブを渡すレーザーカッターです。
詳しい操作方法は製品ページをご覧ください。

EPILOG LASER mini

VisiCutのレーザーカッターに関する設定

レーザーカッターの選択

利用するレーザーカッターを選択します。


今回はEPILOG LASER miniを利用するため、そのシリーズ名である「Epilog Helix」を選択しました。

レーザーカッターとのネットワーク接続設定

レーザーカッターを選んだだけではVisiCutからジョブを遅れないので、ネットワーク経由で接続するための設定を行います。

まず、レーザーカッターの設定画面を開きます。

ver1.7の場合、Edit -> Settings -> Manage Lasercutters.. を選択します。


ver1.7.9の場合、Options -> Lasercutters.. を選択します。


レーザーカッターの設定画面が出たらEpilog Helixをクリックして、その次に編集ボタンをクリックします。


レーザーカッターのIPアドレスを入力して、Saveをクリックします。


レーザーカッターとのネットワーク接続設定ができました。

VisiCutとInkscapeの連携設定

Inkscapeで作ったデータをVisiCutに渡すために、VisiCutでextensionのインストールを呼び出します。

VisiCutのメニューから Extras -> Install Inkscape Extension.. を選択するとインストールが始まります。


インストールに成功すると、その旨のメッセージが出ます。


参考:
VisiCut manual

IncscapeからVisiCutにデータを渡す

Inkscapeでレーザーカッターで出力したいデータを選択します。


Inkscapeで認識されるサイズがレーザーカッターに出力されるので、サイズを変えたい場合は変更します。


エクステンション -> Lasercut Path -> Add to VisiCut を選択します。
Open in Visicutを選択すると、既にVisiCutが開かれている場合、それを閉じて新しいファイルでデータを表示します。
編集中のデータが破棄されるリスクを考えると、Add to Visicutを選択するのが良いと思います。


成功すれば、VisiCutでデータが表示されます。


参考:
VisiCut manual

VisiCutでレーザーカッターの出力設定とジョブの出力

Material

出力対象物を選択します。
今回は紙(Papier)を選びました。


Material Thikness

対象物の厚さを選択すると、レーザーの強さが変わります。
厚みの選択肢を増やすことはできますが、後で行うLaser Settingで強さの設定ができるので、今回は0.0mmのまま先に進みます。


Mapping

彫刻か切断かを選択します。
今回は彫刻したいので engrave everything を選択しました。


Position

選択中のオブジェクトの位置を設定できます。


Previewの原点がレーザーカッターの原点になるので、出力したいオブジェクトは原点ベースで配置することをお勧めします。

左上を軸としてxとyの値を0にすると、原点に設置されます。


Laser Settings

レーザーの強さを設定します。


ジョブの出力

レーザーカッターが起動していないとジョブを送っても消えてしまうので、レーザーカッターの電源が入っていることを確認します。


File -> Execute Job を選ぶか「Ctrl + p」を入力するとジョブが送信されます。
Execute Jobが選べない場合は、Mappingが未選択になっている可能性があります。


dpiに関する警告が出ますが、良いように調整してくれるので「はい」を選択します。


成功すると下記のようなメッセージが出ます。


レーザーにジョブが来ているはずです。


レーザーカッターで出力

原点とフォーカスを調整して、レーザーカッターで出力します。

原点調整:

  1. X/Y off
  2. Go
  3. 原点にしたい場所に手動でミラーを移動
  4. Set Home
  5. ホーム画面に戻りたい場合はReset


フォーカス調整:

  1. Focus
  2. フォーカス距離確認用の金属を設置
  3. 🔺と🔻ボタンでミラーの上下位置を変え、対象物に金属がギリギリ当たる位置にする
  4. OK


調整ができたら「Go」でジョブを実行します。


強さや速さによって仕上がりが変わるので、用途によって調整が必要そうです。


下の段は焼き抜いている部分が多いので、後ろが透けています。

余談

ちなみに、kicadのシルクや銅箔面のデータをSVGで出力して、Inkscapeで必要な部分だけ選択すれば、ハンダペーストのための簡易的なステンシルを作れます。

Kicadでステンシル作成
自分はシルクのデザインを「engrave everything」の「power: 70, speed: 70, focus: 0」で焼き抜いて、ステンシルを作りました。

内容は以上です。

参考

VisiCut - a userfriendly tool for laser-cutting

更新履歴

2017/01/13
visicutのインストール方法を追加しました。
2017/01/15
visicut ver1.7の時の設定画面の開き方を追加しました。

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