背景
公式ドキュメントだけでは詰まったので、メモを残します。もっと良い手順があれば、教えていただけると嬉しいです。
なお、基本的な操作はKiCadのドキュメントを参考にしてください。
KiCadことはじめ
全体像
この流れで説明します。- KiCadプロジェクトを作る
- シンボルを配置して回路を作る
- シンボルとフットプリントを紐付ける
- 回路からNetlistを出力する
- Netlistを利用してPCBにフットプリントを取り込む
KiCadのプロジェクトを作る
今回は「~/kicad_projects/」というディレクトリを作り、その中に「simple_led_pcb」というプロジェクトを作成します。ホームディレクトリにKiCadプロジェクト用のディレクトリを作ります。
mkdir -p ~/kicad_projects
※ KiCad v5からプロジェクト作成時に専用のディレクトリも作ってくれるようになったため、その手順に合わせました。v4を利用する場合は、プロジェクト用のディレクトリを手動で作成してください。
KiCadのプロジェクトの新規作成ボタンをクリックします。
「~/kicad_projects」にsimple_led_pcbというプロジェクトを作ることにして、OKをクリックします。
こうすることで、KiCadはsample_led_pcbというディレクトリを作成して、その中に関連ファイルを配置してくれます。
プロジェクトができました。
このsimple_led_pcbというプロジェクトを編集しながら説明を進めます。
シンボルを配置して回路を作る
シンボルとは回路図で使う記号のことです。KiCad5のUbuntu版の場合は、インストール時にライブラリも読み込まれるため、何もしなくてもピンヘッダの回路ライブラリを使えます。
KiCadメニューの一番左のボタンを押して、Eeschemaという回路作成プログラムを開きます。
Eeschemaでシンボルマークを選択します。
シンボルマークを選択した状態で図面をクリックすると、シンボル選択モードになります。
シンボル選択モードでシンボルがが読み込まれない場合は、自分の書いた記事であるKiCAD5にgithubのライブラリを紐付ける方法を参考にして、githubで管理されているライブラリを読み込むようにするとシンボルを使えるようになると思います。
「1x04」と入力すると、関連するシンボルが出てきます。
今回は「Conn_01x04」のシンボルを選びました。
使いたいシンボルを選んでOKをクリックすると、図面に設置できます。
これで、ヘッダピンを利用した回路が作れます。
なお、先頭にも書きましたが、基本的な操作は公式ドキュメントをご参照ください。
KiCadことはじめ
他に「LED」と「R」というシンボルを配置し、1番ピンに5V、4番品にGNDを接続すると、LEDが点滅する回路を作りました。
この回路をベースに、説明を進めます。
シンボルとフットプリントを紐付ける
PCB作成の楽をするために、シンボルとフットプリントを紐付けます。回路の編集画面で、Tools -> Assign component footprintを選択します。
部品番号を割り振ってよいか聞いてくるので、OKを選択して先に進みます。
配置したシンボルのリストが表示されます。
リストは、左側がシンボル、右側がフットプリントを意味します。
検索ボタンを有効にした状態で文字を入力すると、その文字を含むフットプリントを絞り込めます。
View selected footprintボタンをクリックすると、フットプリントを確認できます。
このようにシンボルとフットプリントを紐付けました。
紐付けができたら、保存して紐付け設定画面を閉じます。
Pcbnewにフットプリントを読み込む
Pcbnewとは、フットプリントの配置を決めてプリント基盤を設計する機能です。先ほどシンボルに割り当てたフットプリントをPcbnewで読み込みます。
KiCad5以後
Eeschemaかホームメニューのボタンを押してPcbnewを開きます。Pcbnewを開いたら、「回路図から基盤を更新」ボタンを押します。
更新画面が表示されるので基盤を更新ボタンを押し、更新できたら閉じるを押します。
回路図で割り当てた配線とフットプリントをEeschemaで読み込めました。
KiCad4以前
KiCad4以前でフットプリントをPcbnewで読み込むには一度Netlistを経由する必要がありました。KiCad5以後は先ほど紹介した手順で済むと思いますが、備忘録のため古い手順の説明も残します。
回路からNetlistを出力する
シンボルとフットプリントの紐付けができたらNetlistを出力します。Eeschemaで「net」ボタンをクリックします。
Generateをクリックします。
「~/kicad/sample_led_pcb/simple_led_pcb.net」を作成します。
Netlistが出力できたら、フットプリントの作成に移ります。
Netlistを利用してPCBにフットプリントを取り込む
KiCadのトップメニューでPCBマークをクリックして、PCB編集画面を開きます。「net」ボタンをクリックします。
先程作成したNetlistがファイルパスとして指定されている状態で「Read Current Netlist」をクリックします。
Messatesにログが表示されたら、フットプリントが出力されているはずです。
Netlist画面を閉じて、フットプリントを確認します。
編集画面の状態によっては画面外にあったり、フットプリントがとても小さかったりするので、拡大縮小や画面の移動をしてみてください。
まとめ
ピンヘッダ付きの回路を作り、フットプリント割り当ててを基盤作成画面(Pcbnew)で読み込めました。これ以後のPCB作成方法は、公式ドキュメントをご覧ください。
KiCadことはじめ > 4.プリント基板のレイアウト > 4.1.Pcbnew の使用
参考
Importing Libraries into KiCadGoing from Schematic to PCB Layout in KiCad (using Cvpcb)
更新履歴
2018.04.07KiCad5に合わせて、プロジェクトの作成方法を変更しました。
記事中の「回路部品」という単語を「シンボル」に置き換えました。
KiCad5ではネットリストをPCB編集画面に読み込んだ際に部品が最初から重ならない状態になったので、バラけさせる手順を削除しました。
2019.01.04
更新されたライブラリに合わせて、利用するシンボルを「HEADER_4」から「Conn_1x04」変更しました。
ファイルからピンヘッダを読み込む方法を不要と判断して削除しました。
2020.02.09
KiCad5からネットリストを介さずにフットプリントをpcbnewに読み込めるようになったため、その方法を追加しました。
2023.03.20
「KiCadことはじめ」のリンクが切れていたので、KiCad7向けのurlに変更しました。
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