背景
オペアンプとは、アナログ信号の増幅器です。オペアンプがどんなものか知りたかったので、抵抗を組み変えていくつかの電圧の作成と増幅の変更を行い、様子をみてみました。
備忘録を兼ねて記事を共有します。
使ったもの
- Analog Discovery2 + PC
USB接続で利用できるオシロスコープです。
オペアンプへの電力供給や増幅後の信号測定に利用しました。
設定方法や使い方は以前書いた記事が参考になると思います。
Analog Discovery2を利用して電子部品に流れる電流量を計測してみた - オペアンプ OP07
参考にしたマルツオンラインの記事に高性能オペアンプとして紹介されていたので、使ってみました。 - 1M1%抵抗
- 100k1%抵抗
- 10k1%抵抗
- 1k1%抵抗
- 1Ω1%抵抗
- 0.1Ω1%抵抗
- ジャンパワイヤ オスメス、硬いもの
- ブレッドボード
- ビニールテープ白 + マジック + ハサミ
抵抗やオペアンプのラベル付に利用しました。
試した回路
オペアンプで非反転増幅回路を組み、抵抗を組み合わせて分圧した電圧を測定しました。非反転増幅回路の説明をしているサイトはいくつかありますが、自分は下記のサイトの回路図と計算式が分かりやすく感じたので参考にしました。
オペアンプで始めるアナログ回路
今回試したのはこちらの回路です。
実際に回路を組むとこうなりました。
抵抗を差し替えてVinの電圧や反転増幅回路の増幅幅を変えます。
非反動増幅回路のR1とR2の値によって、Vout = Vin * (1 + R2/ R1) となるはずです。
R1を1kΩ、R2を100kΩか1MΩで回路を作ります。
測定対象の電圧は「0.1Ωか1Ω」と「1kΩか10kΩ」の組み合わせで作ります。
+5Vと-5VはAnalog Discoveryから供給します。
Analog Discoveryのチャンネル1の+をVoutに、チャンネル1の-をGNDに接続してVoutの電圧を測定します。
R1=1k, R2=1M, R3=10k, R4=1のときの測定時の様子 |
測定結果
R2,R3,R4を変えてVoutの電圧をAnalog Discoveryで測定しました。理論値と実測値を表にまとめます。
下記の式計算した値を有効数字2桁で表示します。
R1: 1kΩで固定
Vplus: 5V
増幅幅: 1+R2/R1
Vinの理論値: Vplus*R4/(R3+R4) [V]
Voutの理論値: 増幅幅*Vinの理論値 [V]
誤差V: Voutの実測値-Voutの理論値
誤差%: (誤差/Voutの理論値)*100 [%]
R2 | 増幅幅 | R3 | R4 | Vinの理論値 | Voutの理論値 | Voutの測定値 | 誤差V | 誤差% |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1M | 1001 | 10k | 1 | 0.0005 | 0.5 | 0.53 | 0.03 | 5.9 |
1M | 1001 | 10k | 0.1 | 0.00005 | 0.05 | 0.082 | 0.032 | 64 |
1M | 1001 | 1k | 1 | 0.005 | 5 | 4.2 | -0.8 | -16 |
1M | 1001 | 1k | 0.1 | 0.0005 | 0.5 | 0.56 | 0.06 | 12 |
100k | 101 | 10k | 1 | 0.0005 | 0.051 | 0.052 | 0.0015 | 3 |
100k | 101 | 10k | 0.1 | 0.00005 | 0.0051 | 0.007 | 0.002 | 39 |
100k | 101 | 1k | 1 | 0.005 | 0.51 | 0.51 | 0.0055 | 1.1 |
100k | 101 | 1k | 0.1 | 0.0005 | 0.051 | 0.055 | 0.0045 | 8.9 |
考察
増幅幅1001でVin0.005Vの測定は、この回路ではVoutがVplus(V+)に近くなってしまうので出来ない
増幅幅1001でVin0.005VだとVoutとして5Vに増幅しようとするもののオペアンプのV+に近い値となってしまうため、Voutが理論値よりも16%低い値になりました。0.005Vを測定したい場合は、増幅幅を減らす必要があります。
この回路で50μVの増幅は出来なさそう
この回路で50μVを測定しようとすると、増幅幅が1001でも101でも誤差が30%以上大きな値になりました。この回路の抵抗が大きいのか、OP70の限界なのか、どちらかは分かっていませんが、この回路で50uVの増幅は厳しいようです。
0.1Ωだと回路の抵抗が影響するためか1Ωより誤差が大きくなる
0.1Ωの抵抗に発生する電圧の計測は、ブレッドボードで作る回路では接点の抵抗が問題になってしまうのか、1Ωの計測時よりも誤差が大きくなってしまうようです。まとめ
オペアンプOP07を非反転増幅回路に組み込み、電圧を増幅しました。50μVの増幅は誤差が30%以上になってしまいましたが、500μVの電圧なら増幅幅101なら誤差10%弱で、増幅幅1001なら誤差10%前後で増幅できました。
参考
オペアンプで始めるアナログ回路オペアンプ(OPアンプ)の種類と使い分け&選び方 | マルツオンライン
OP07の仕様で入力オフセット電圧:150μV(25℃、±15V、保証値)となっているので、そのままでは50uVは厳しそうですね。チョッパーアンプのようにオフセットをキャンセル仕組みか、ロックインアンプの様に同期検波使って微小信号を増幅するかすれば、いけるんではないでしょうか。
返信削除オフセットが下限値を意味するのですね。
削除チョッパーアンプで検索するとAnalog Devicesの解説記事が出てきて、そこで紹介されていたAD8571がオフセット1uVなので、OP07に比べて100uV以下の電圧でも精度良く増幅できそうでした。
気が向いたら買って試してみようと思います。
情報ありがとうございます。