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2019年7月21日日曜日

PCB製造サービス向けのガーバーデータとzipを作るKiCadのプラグインを作ってみた


背景

KiCadで基板を作って発注のためガーバーデータをファイルに出力する時、基板の製造を依頼する先によって出力設定を変える必要があります。
都度手動で設定すると、設定項目の調査に時間を取られる上に間違いが発生する可能性があります。

そのような手間や間違いを無くすべく、基板メーカーの要求するファイルを出力してくれるプラグインを作ってみました。

https://github.com/asukiaaa/gerber_to_order

便利だと思うので、使い方を共有します。

使ったもの

  • KiCad 5.1.2
    現在最新版のKiCadです。
  • gitコマンド
    gitとはバージョン管理プログラムです。
    ファイルを手動でダウンロードしてファイルを置くこともできますが、gitを利用する方がバージョンアップしやすいので、gitを利用したプラグインの配置方法を共有します。
    Macは標準でインストールされています。
    Windowsはgit for windowsをインストールしてください。
    Linuxは「sudo apt install git」などのコマンドでインストールできます。

プラグインを配置

KiCadはホームディレクトリの「.kicad_plugins」にプラグインのプログラムを配置すると起動時にプログラムを読み込んでくれます。

ということで、Windowsの方はgitforwindowsのコマンド画面、macやlinuxの方はターミナルで下記のコマンドを実行すると、今回紹介するプラグインをインストールできます。

Windowsの場合
mkdir -p ~/AppData/Roaming/kicad/scripting/plugins
cd ~/AppData/Roaming/kicad/scripting/plugins
git clone https://github.com/asukiaaa/gerber_to_order.git

Macの場合
mkdir -p ~/Library/Preferences/kicad/scripting/plugins
cd ~/Library/Preferences/kicad/scripting/plugins
git clone https://github.com/asukiaaa/gerber_to_order.git

Linuxの場合
mkdir -p ~/.kicad/scripting/plugins
cd ~/.kicad/scripting/plugins
git clone https://github.com/asukiaaa/gerber_to_order.git

プラグインを実行

pcbnewで ツール -> 外部プラグイン -> Gerber to order を選択すると、プラグインのメニュー画面が表示されます。


表示された画面の「Export」ボタンを押すと基板メーカーごとのzipファイル(記事を書いている時点ではElecrow、FusionPCB、PCBWay)が生成されます。
今後のプラグイン更新により下記の写真とは見た目が異なる可能性がありますが、その場合は良さそうなボタンを押してください。


zipファイルを利用して基板を発注できます。
基板メーカーに応じて利用するzipを選んでください。


プラグインを更新

gitでプラグインのファイルを配置していれば、git pullを利用してプラグインを更新できます。

Windowsの場合
cd ~/AppData/Roaming/kicad/scripting/plugins/gerber_to_order
git pull origin master

Macの場合
cd ~/Library/Preferences/kicad/scripting/plugins/gerber_to_order
git pull origin master

Linuxの場合
cd ~/.kicad/scripting/plugins/gerber_to_order
git pull origin master

更新があるかは、githubのコミット履歴をみると分かります。
ファイルをダウンロードした日よりも新しいコミットがあれば、上記の操作でプラグインを最新の状態にできます。

プラグインをpcbnewのツールバーに配置

プラグインの実行ボタンをpcbnewのツールバーに置くと、すぐに実行できて便利です。


設定画面は 設定 -> 設定 (Macの場合はKiCad -> Preferences)で開けます。


「Pcbnew -> アクションプラグイン」を選ぶとプラグイン一覧が表示されるので、ツールバーに配置したいプラグインの「ボタンを表示」を有効にすると配置できます。


まとめ

プラグインを利用してガーバーデータを出力することで、発注時の手間を減らせるようになりました。
良かったらお使いください。

不具合がありましたら、この記事へのコメント、githubのissueやpull requestなどでお知らせいただけるとありがたいです。

参考

プラグイン作成の参考にした記事とソースコードです。
KiCad アクションスクリプト GerberZip
https://github.com/g200kg/kicad-action-plugins

KiCadのプラグインの作り方紹介ページです。
Python Plugin Development for Pcbnew

プラグイン作成時に利用する関数や変数の一覧ページです。
pcbnew Namespace Reference

変更履歴

2019.07.21
プラグインを置く場所が.kicadpluginsではなく.kicad_pluginsだったので、修正しました。

2019.07.22
言い回しや句読点の位置を所々更新しました。

2019.07.23
Windowsでは不具合のため利用できない状況にある旨を冒頭に記述しました。

2019.07.23
Windowsでも動くようにプログラムを更新たため、不具合に関する注意書きを削除しました。
それに伴い、プラグインの更新方法を追加しました。
OSによってプラグインを配置するディレクトリが異なったので、WindowsとMac向けの情報を追加しました。
それに伴い、他のOSの規則に合わせて、Linux向けのパスも「.kicad_plugins」から「.kicad/scripting/plugins」に変更しました。

2019.11.16
macの場合のインストールコマンドのフォルダ作成コマンドのフォルダ情報が不足していたので訂正しました。

2021.03.01
プラグインをツールバーに配置する方法を追加しました。
プラグインの作り方紹介ページのリンクが切れていたので更新しました。

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