2020年3月1日日曜日

オペアンプOP07で電圧を増幅してみた(結果: 100μVはまあまあ、50μVは良くない)


背景

オペアンプとは、アナログ信号の増幅器です。
オペアンプがどんなものか知りたかったので、抵抗を組み変えていくつかの電圧の作成と増幅の変更を行い、様子をみてみました。
備忘録を兼ねて記事を共有します。

使ったもの


試した回路

オペアンプで非反転増幅回路を組み、抵抗を組み合わせて分圧した電圧を測定しました。
非反転増幅回路の説明をしているサイトはいくつかありますが、自分は下記のサイトの回路図と計算式が分かりやすく感じたので参考にしました。

オペアンプで始めるアナログ回路

今回試したのはこちらの回路です。


実際に回路を組むとこうなりました。
抵抗を差し替えてVinの電圧や反転増幅回路の増幅幅を変えます。




非反動増幅回路のR1とR2の値によって、Vout = Vin * (1 + R2/ R1) となるはずです。
R1を1kΩ、R2を100kΩか1MΩで回路を作ります。

測定対象の電圧は「0.1Ωか1Ω」と「1kΩか10kΩ」の組み合わせで作ります。

+5Vと-5VはAnalog Discoveryから供給します。


Analog Discoveryのチャンネル1の+をVoutに、チャンネル1の-をGNDに接続してVoutの電圧を測定します。

R1=1k, R2=1M, R3=10k, R4=1のときの測定時の様子

測定結果

R2,R3,R4を変えてVoutの電圧をAnalog Discoveryで測定しました。
理論値と実測値を表にまとめます。

下記の式計算した値を有効数字2桁で表示します。
R1: 1kΩで固定
Vplus: 5V
増幅幅: 1+R2/R1
Vinの理論値: Vplus*R4/(R3+R4) [V]
Voutの理論値: 増幅幅*Vinの理論値 [V]
誤差V: Voutの実測値-Voutの理論値
誤差%: (誤差/Voutの理論値)*100 [%]

R2 増幅幅 R3 R4 Vinの理論値 Voutの理論値 Voutの測定値 誤差V 誤差%
1M 1001 10k 1 0.0005 0.5 0.53 0.03 5.9
1M 1001 10k 0.1 0.00005 0.05 0.082 0.032 64
1M 1001 1k 1 0.005 5 4.2 -0.8 -16
1M 1001 1k 0.1 0.0005 0.5 0.56 0.06 12
100k 101 10k 1 0.0005 0.051 0.052 0.0015 3
100k 101 10k 0.1 0.00005 0.0051 0.007 0.002 39
100k 101 1k 1 0.005 0.51 0.51 0.0055 1.1
100k 101 1k 0.1 0.0005 0.051 0.055 0.0045 8.9

考察

増幅幅1001でVin0.005Vの測定は、この回路ではVoutがVplus(V+)に近くなってしまうので出来ない

増幅幅1001でVin0.005VだとVoutとして5Vに増幅しようとするもののオペアンプのV+に近い値となってしまうため、Voutが理論値よりも16%低い値になりました。
0.005Vを測定したい場合は、増幅幅を減らす必要があります。

この回路で50μVの増幅は出来なさそう

この回路で50μVを測定しようとすると、増幅幅が1001でも101でも誤差が30%以上大きな値になりました。
この回路の抵抗が大きいのか、OP70の限界なのか、どちらかは分かっていませんが、この回路で50uVの増幅は厳しいようです。

0.1Ωだと回路の抵抗が影響するためか1Ωより誤差が大きくなる

0.1Ωの抵抗に発生する電圧の計測は、ブレッドボードで作る回路では接点の抵抗が問題になってしまうのか、1Ωの計測時よりも誤差が大きくなってしまうようです。

まとめ

オペアンプOP07を非反転増幅回路に組み込み、電圧を増幅しました。
50μVの増幅は誤差が30%以上になってしまいましたが、500μVの電圧なら増幅幅101なら誤差10%弱で、増幅幅1001なら誤差10%前後で増幅できました。

参考

オペアンプで始めるアナログ回路
オペアンプ(OPアンプ)の種類と使い分け&選び方 | マルツオンライン

2 件のコメント :

辻田 さんのコメント...

OP07の仕様で入力オフセット電圧:150μV(25℃、±15V、保証値)となっているので、そのままでは50uVは厳しそうですね。チョッパーアンプのようにオフセットをキャンセル仕組みか、ロックインアンプの様に同期検波使って微小信号を増幅するかすれば、いけるんではないでしょうか。

Asuki Kono さんのコメント...

オフセットが下限値を意味するのですね。
チョッパーアンプで検索するとAnalog Devicesの解説記事が出てきて、そこで紹介されていたAD8571がオフセット1uVなので、OP07に比べて100uV以下の電圧でも精度良く増幅できそうでした。

気が向いたら買って試してみようと思います。
情報ありがとうございます。